ユキマサくん元請から「今後も仕事を頼みたいから、産廃の許可を取ってくれ」って言われたんだけど、何から始めればいいの?



まず申請書を作るのではなく、どんな産廃を、どこから、どこまで運ぶ仕事なのかを整理しましょう。
そのあと講習会、車両、決算内容などを確認していきます。
元請から産業廃棄物収集運搬業許可の取得を求められた場合、最初に確認したいのは「いつまでに必要か」だけではありません。
実際に運ぶ予定の産業廃棄物、排出される現場、処理施設、使用する車両、講習会の受講状況、会社の決算内容まで整理したうえで申請を進める必要があります。
建設会社を経営していると、ある日突然、元請会社から「産廃の許可を取ってほしい」と言われることがあります。
これまでは現場作業だけを請け負っていたものの、今後は現場から出たがれき類や廃プラスチック類などを処理場まで運ぶところまで任せたい、と言われるようなケースです。
仕事を増やせるならすぐにでも許可を取りたいところですが、産業廃棄物収集運搬業許可は、申請書を一枚出せば取れるような許可ではありません。
先に確認すべきことを飛ばして申請準備を始めると、「講習会を受けていなかった」「運びたい産廃の種類が整理できていない」「予定していた車両が申請に使えない」といったところで止まってしまいます。
この記事では、元請会社から産廃収集運搬業許可の取得を求められた大分県内の建設会社が、最初に何を確認し、どの順番で動けばいいのかを解説します。
- 元請から産廃許可の取得を求められたとき最初に確認すること
- 申請前に運ぶ産業廃棄物の種類を整理する理由
- 講習会は誰が受ければいいのか
- 車両や駐車場について確認しておくこと
- 決算内容や欠格要件を申請前に確認する理由
まず元請に「どんな仕事を任せたいのか」を確認する
元請から「産廃の許可を取って」と言われたら、最初に確認したいのが、許可を取った後にどのような仕事を任される予定なのかです。
「産廃を運んでほしい」と言われただけでは、申請内容を決めることはできません。
少なくとも、次の内容は確認しておきましょう。
- どのような工事の現場なのか
- どの種類の産業廃棄物が出るのか
- どこの現場から運ぶのか
- どこの中間処理場・最終処分場へ運ぶのか
- どの車両で運ぶ予定なのか
- いつ頃から運搬業務を始めたいのか
この段階で仕事の内容を具体的にしておけば、許可申請で必要となる産業廃棄物の種類や事業計画を整理しやすくなります。
「とりあえず産廃許可を取る」のではなく、許可を取った後にどの仕事をするのかを先に確認しましょう。
次に「何を運ぶのか」を整理する



産廃の許可を取れば、現場から出るゴミは全部運べるんじゃないの?



そうではありません。
申請するときに、取り扱う産業廃棄物の種類を決める必要があります。
元請に仕事内容を確認したら、次は実際に運ぶ予定の産業廃棄物を整理します。
建設工事では、たとえば次のような産業廃棄物が発生します。
- がれき類
- 廃プラスチック類
- 金属くず
- 木くず
- ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず
どの工事を請け負うのかによって、必要になる品目は変わります。
大分県の新規許可申請では、取り扱う産業廃棄物についてチェック表や事業計画を作成します。
元請から頼まれている仕事だけでなく、今後受注する可能性が高い工事まで確認して、実際に必要となる品目を整理しておくことが重要です。
許可取得後に取り扱う産業廃棄物の種類を追加する場合は、変更許可が必要になることがあります。大分県の産業廃棄物収集運搬業の変更許可申請手数料は71,000円です。
講習会を修了している人がいるか確認する
仕事内容を整理したら、次に確認したいのが講習会です。
大分県では、産業廃棄物処理業を的確に行う知識や技能があることを証明する書類として、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが実施する講習会の修了証の写しを提出する必要があります。
新規許可申請の場合は、原則として新規課程の講習会修了証が必要です。
法人の場合、受講できるのは誰でもよいわけではなく、次の方のうち最低1名が修了している必要があります。
- 代表者
- 役員
- 廃棄物処理法施行令第6条の10で定める使用人
なお、監査役は受講者には含まれません。
大分県では、新規課程の講習会修了証の有効期間を5年としています。



社長のオレが絶対に受けないとダメなの?



法人の場合、必ず代表者本人でなければならないわけではありません。
対象となる役員や政令使用人が修了していれば申請できます。
元請から許可取得を求められたら、まず社内に有効な講習会修了証を持っている方がいるか確認してください。
誰も受講していないのであれば、申請書作成より先に講習会の受講手配を進める必要があります。
運搬に使う車両を決める
次に、産業廃棄物を実際に運ぶ車両を確認します。
大分県の新規許可申請では、運搬車両について、車両の写真や自動車検査証の写しなどを提出します。
電子車検証の場合は、自動車検査証記録事項の写しも確認しておきましょう。
また、自動車検査証などから車両の所有権や使用権を確認できない場合は、賃貸借契約書や使用承諾書などが必要になることがあります。
つまり、「会社にトラックがあるから大丈夫」と考えるのではなく、その車両を申請者が適法に使用できることを示せる状態にしておく必要があります。
駐車場についても確認する
車両だけでなく、駐車場についても書類が必要になります。
大分県の新規許可申請では、事業場である駐車場について、付近見取図、配置図、公図、土地登記事項証明書などを提出します。
借りている土地を駐車場として使用している場合は、賃貸借契約書や使用承諾書など、申請者がその場所を使用できることを確認する書類も準備します。
産廃許可は「車を持っているか」だけではなく、どの車を使い、どこを駐車場として使用するのかまで申請書類で確認されます。
直近の決算内容も確認しておく



産廃の許可なのに、会社の決算書まで見るの?



見ます。
新規許可申請では、資金や資産に関する書類も提出します。
産業廃棄物収集運搬業許可では、会社の経理面も申請審査の対象になります。
大分県の新規許可申請では、資金計画書をはじめ、法人の場合は直前3年分の貸借対照表、損益計算書などの決算関係書類を準備します。
そのため、元請から許可取得を求められた段階で、直近の決算書を手元に用意しておくと申請準備を進めやすくなります。
特に赤字や債務超過などがある場合は、通常どおりの書類だけで申請できるのかを事前に確認しておいた方が安全です。
役員や株主の状況も確認する
産業廃棄物収集運搬業許可では、会社だけでなく役員などについても確認が行われます。
大分県の必要書類一覧では、法人の場合、登記事項証明書、役員等の住民票、欠格要件非該当誓約書などが新規申請の必要書類とされています。
また、5%以上の株式を保有する株主についても申請書類上の確認が必要になります。
役員変更の登記をしていない、実際の役員と登記簿の内容が違う、株主構成を正確に把握していない、といった場合は申請準備が途中で止まりやすくなります。
元請から急いで許可を取るように言われている場合ほど、申請直前になって慌てないよう、会社の登記内容と実態が合っているか先に確認しておきましょう。
「仕事が決まったから先に運ぶ」はダメ
ここは特に注意してください。
大分県は、他人から委託を受けて産業廃棄物を収集・運搬する者は、業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事等の許可を受けなければならないとしています。
元請から「来月から運んでほしい」と言われたとしても、必要な許可を取得する前に無許可で産業廃棄物の収集運搬を始めてよいわけではありません。
仕事の開始時期が迫っている場合は、先に運搬を始めるのではなく、元請に許可取得までの状況を説明し、業務開始時期を調整する必要があります。
元請から仕事をもらえることが決まっていても、必要な許可を取得する前に他人の産業廃棄物を業として収集・運搬することはできません。
大分県の申請は予約制
必要な条件を確認し、申請書類が揃ったら大分県へ新規許可申請を行います。
大分県では、申請者の事務所または事業場の所在地を管轄する保健所または保健部が新規許可申請の受付窓口です。
新規許可申請は予約制となっており、窓口へ提出する場合は事前に電話で予約を行います。
郵送申請も可能ですが、書類に不備があれば修正や追加書類を求められ、内容や添付書類の不足によっては受付されない場合があります。
大分県の産業廃棄物収集運搬業の新規許可申請手数料は81,000円です。
なお、不許可になった場合や申請を取り下げた場合でも、申請手数料は返金されません。
元請から許可取得を求められたらこの順番で動く
ここまでの内容を、実際に動く順番にまとめます。
- 元請に予定している仕事内容を確認する
- 運ぶ産業廃棄物の種類を整理する
- 社内に講習会修了者がいるか確認する
- 使用する車両と駐車場を決める
- 直近の決算内容を確認する
- 役員・株主・登記内容を確認する
- 申請書と必要書類を揃えて申請する
元請から許可取得を求められたときに、いきなり申請書を書き始める必要はありません。
先にこの7項目を整理しておけば、どこで申請準備が止まりそうなのかを早い段階で把握できます。
よくある質問
Q1 元請から言われたらすぐに申請できますか?



来週申請したいんだけど、書類だけ作ればいける?



講習会修了証、車両、駐車場、決算関係、役員関係などを確認する必要があります。
まず申請条件が揃っているかを確認しましょう。
Q2 講習会は社長本人が受けないとダメ?



忙しくてオレが講習会を受ける時間がないんだけど。



法人の場合、代表者本人に限られません。
役員や一定の政令使用人のうち、対象となる方が修了していれば申請できます。
Q3 会社のトラックなら何でも申請できますか?



普段現場で使ってるダンプをそのまま使いたいんだけど。



まず車検証などを確認します。
申請者がその車両を使用できることを確認できない場合は、使用権限を示す書類が必要になることがあります。
Q4 赤字決算でも申請できますか?



去年ちょっと赤字だったんだけど、それだけで無理?



赤字というだけで、この場で一律に許可が取れないとは判断できません。
決算内容を確認したうえで、必要となる書類や対応を整理する必要があります。
Q5 許可が出る前に元請の産廃を運んでもいい?



申請中なら先に仕事を始めてもいいんじゃないの?



申請中だから無許可で運搬してよいということにはなりません。
許可が必要な仕事であれば、許可を取得してから開始してください。
まとめ



元請に言われたからって、すぐ申請書を書けばいいわけじゃないんだね。



そうです。
まず仕事の内容、産廃の種類、講習会、車両、決算内容などを順番に確認すれば、申請までの道筋が見えてきます。
元請から「産廃収集運搬業許可を取ってほしい」と言われたら、仕事を受注できるチャンスですが、焦って申請準備を進める必要はありません。
最初に必要な条件を一つずつ確認し、足りないものがあれば申請前に準備していきましょう。
この記事の重要ポイント
- 最初に元請から任される仕事内容を具体的に確認する
- 運ぶ予定の産業廃棄物の種類を整理する
- 有効な講習会修了証を持つ対象者がいるか確認する
- 使用する車両と駐車場を決める
- 決算内容、役員、株主、登記内容を確認する
- 必要な許可を取得する前に運搬業務を開始しない
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まだ講習会を受けていない、どの産廃の種類を申請すればいいか分からない、今使っている車両で申請できるか分からない、という段階でも構いません。
現在の状況と元請から任される予定の仕事内容を確認し、許可申請までに何を準備すればいいのかを整理します。
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